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地蔵菩薩
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地蔵菩薩 (じぞうぼさつ)、サンスクリット語クシティ・ガルバ(क्षितिघर्भ [kSiti gharbha])は、仏教の信仰対象である菩薩の一尊。クシティは「大地」、ガルバは「胎内」「子宮」の意味で、意訳して「地蔵」と言う。また持地、妙憧、無辺心とも訳される。三昧耶形は如意宝珠と幢幡(竿の先に吹き流しを付けた荘厳具)、錫杖。種子(種字)はカ (ha)。
大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩の人々をその無限の大慈悲の心で包み込み、救う所から名付けられたとされる。一般的には「子供の守り神」として信じられており、よく子供が喜ぶお菓子が供えられている。
一般的に、親しみを込めて「お地蔵さん」、「お地蔵様」と呼ばれる。
密教 |
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仏教 |
金剛乗仏教 |
時代・地域 |
初期 中期 後期 インド チベット 中国 日本 |
主な宗派(日本) |
東密 ※は、「真言宗各山会」加入 - 古義真言宗系 - ※高野山真言宗 ※東寺真言宗 ※真言宗善通寺派 ※真言宗醍醐派 ※真言宗御室派 ※真言宗大覚寺派 ※真言宗泉涌寺派 ※真言宗山階派 ※信貴山真言宗 ※真言宗中山寺派 ※真言三宝宗 ※真言宗須磨寺派 真言宗東寺派 - 新義真言宗系 - ※真言宗智山派 ※真言宗豊山派 ※新義真言宗 真言宗室生寺派 - 真言律 - ※真言律宗 台密 (〈日本〉天台宗) |
信仰対象 |
如来 菩薩 明王 天 |
経典 |
大日経 金剛頂経 蘇悉地経 理趣経 |
思想 基本教義 |
即身成仏 三密 入我我入 曼荼羅 護摩 東密 古義 (広沢流 小野流) 新義 |
関連人物 |
東密 金剛薩埵 龍樹 龍智 金剛智 不空 恵果 空海 真言律 叡尊 忍性 信空 台密 最澄 順暁 円仁 円珍 |
ウィキポータル 仏教 |
目次[非表示] |
概要 [編集]
忉利天に在って釈迦仏の付属を受け、毎朝禅定に入りて衆生の機根(性格や教えを聞ける器)を感じ、釈迦の入滅後、56億7000万年後に弥勒菩薩が出現するまでの間、現世に仏が不在となってしまうため、その間、六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)を輪廻する衆生を救う菩薩であるとされる。 元々は虚空蔵菩薩の虚空蔵と地蔵は対になっていたと思われる。しかし今では地蔵菩薩の独自の信仰もあり、対で祀られる事はほぼ無い。
像容 [編集]
一般には剃髪した声聞・比丘形(僧侶の姿)で白毫があり、袈裟を身にまとう。装身具は身に着けないか、着けていても瓔珞(ネックレス)程度。左手に如意宝珠、右手に錫杖を持つ形、または左手に如意宝珠を持ち、右手は与願印(掌をこちらに向け、下へ垂らす)の印相をとる像が多い。(この場合、伝統的に彫像であることが多く画像はまれである。)
しかし密教では胎蔵曼荼羅地蔵院の主尊として、髪を高く結い上げ装身具を身に着けた通常の菩薩形に表され、右手は右胸の前で日輪を持ち、左手は左腰に当てて幢幡を乗せた蓮華を持つ。(この場合、画像で表現されることが多い。)
功徳利益 [編集]
地蔵菩薩本願経には、二十八種利益と七種利益が説かれている。
- 二十八種利益
- 天龍護念(天龍が保護してくれる)
- 善果日増(善いカルマが日々増していく)
- 集聖上因(聖にして上なるカルマが集まってくる)
- 菩提不退(悟りの境地から後退しない)
- 衣食豊足(衣服や食物に満ち足りる)
- 疾疫不臨(疫病にかからない)
- 離水火災(水難や火災を免れる)
- 無盗賊厄(盗賊による災厄に遭わない)
- 人見欽敬(人々が敬意を払って見てくれる)
- 神鬼助持(神霊が助けてくれる)
- 女転男身(女性から男性になれる[1])
- 為王臣女(王や大臣の令嬢になれる)
- 端正相好(端正な容貌に恵まれる)
- 多生天上(何度でも天上に生まれ変わる)
- 或為帝王(あるいは人間界に生まれ変わって帝王になる)
- 宿智命通(カルマを知る智慧を持ち、カルマに通ずる)
- 有求皆従(要求があれば皆が従ってくれる)
- 眷属歓楽(眷属が喜んでくれる)
- 諸横消滅(諸々の理不尽なことが消滅していく)
- 業道永除(カルマが永久に除かれる)
- 去処盡通(赴く場所にうまくいく)
- 夜夢安楽(夜は夢が楽しめる)
- 先亡離苦(先祖が苦しみから解放される)
- 宿福受生(幸福になる運命の人生を授かる)
- 諸聖讃歎(諸聖人が讃えてくれる)
- 聰明利根(聡明で利発になる)
- 饒慈愍心(慈悲の心に溢れる)
- 畢竟成佛(必ず仏になる)
- 七種利益
- 速超聖地(速やかに聖地を超える)
- 悪業消滅(悪いカルマが消滅する)
- 諸佛護臨(諸々の仏が護ってくれる)
- 菩提不退(悟りの境地から後退しない)
- 増長本力(本来持っていた能力が増幅される)
- 宿命皆通(カルマの全てに通ずる)
- 畢竟成佛(必ず仏になる)
真言 [編集]
オン カカカ ビサンマエイ ソワカ(Aum ha ha ha vismaye svaahaa)
十王思想との関係 [編集]
偽経とされる『閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経』(預修十王生七経)や『地蔵菩薩発心因縁十王経』(地蔵十王経)によって、道教の十王思想と結びついて、地蔵菩薩が閻魔または十王の一尊としての閻魔王と同一の存在であるという信仰が広まった。閻魔王は地蔵菩薩として人々の様子を事細かに見ているため、綿密に死者を裁くことができるとされ、泰山王とともに十王の中心に据えられた。
中国における地蔵信仰 [編集]
中国においては、地蔵菩薩は道教の十王思想と結びついて閻魔王として死者を裁くことから地藏王菩薩と呼ばれ、主に死後の(地獄からの)救済を願って冥界の教主として信仰される。日本の神奈川県横浜市中区にも、死者の永眠を祀る地藏王廟(中華義荘)が華僑によって建立されている。
地藏王菩薩の聖地は、安徽省にある九華山である。これは、新羅の地蔵という僧(696年 - 794年、俗名金喬覚、俗姓と法名を連ねて、金和尚あるいは金地蔵とも呼ばれる)が、この地にある化城寺に住したことに因むものである。齢99で、この地で入滅した地蔵は、3年後に棺を開いて塔に奉安しようとしたところ、その顔貌が生前と全く変わることがなかったことなどから、地蔵を地藏王菩薩と同一視する信仰が生まれ、その起塔の地が地藏王菩薩の聖地となったものである。その故事によって、文殊菩薩の五台山、普賢菩薩の峨眉山、観音菩薩の普陀山と並ぶ中国仏教の聖地(中国四大仏教名山)として、今日まで信仰を集めている。
日本における地蔵信仰 [編集]
また道祖神と習合したため、日本全国の路傍で石像が数多く祀られた。
六地蔵 [編集]
日本では、地蔵菩薩の像を6体並べて祀った六地蔵像が各地で見られる。これは、仏教の六道輪廻の思想(全ての生命は6種の世界に生まれ変わりを繰り返すとする)に基づき、六道のそれぞれを6種の地蔵が救うとする説から生まれたものである。六地蔵の個々の名称については一定していない。地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道の順に檀陀(だんだ)地蔵、宝珠地蔵、宝印地蔵、持地地蔵、除蓋障(じょがいしょう)地蔵、日光地蔵と称する場合と、それぞれを金剛願地蔵、金剛宝地蔵、金剛悲地蔵、金剛幢地蔵、放光王地蔵、預天賀地蔵と称する場合が多いが、文献によっては以上のいずれとも異なる名称を挙げている物もある。像容は合掌のほか、蓮華、錫杖、香炉、幢、数珠、宝珠などを持物とするが、持物と呼称は必ずしも統一されていない。
地蔵菩薩に関する伝承 [編集]
古代インド王の転生 [編集]
過去久遠の昔、インドに大変慈悲深い2人の王がいた。一人は自らが仏となることで人を救おうと考え、一切智威(成就)如来という仏になった。だが、もう一人の王は仏になる力を持ちながら、あえて仏となることを拒否し、自らの意で人の身のまま地獄に落ち、すべての苦悩とさ迷い続ける魂を救おうとした。それが地蔵菩薩である。地蔵菩薩の霊験は膨大にあり、人々の罪業を滅し成仏させるとか、苦悩する人々の身代わりになって救済するという説話が多い。
子供の守護・救済 [編集]
菩薩は如来に次ぐ高い見地であるが、地蔵菩薩は「一斉衆生済度の請願を果たさずば、我、菩薩界に戻らじ」との決意でその地位を退し、六道を自らの足で行脚して、救われない衆生、親より先に世を去った幼い子供の魂を救って旅を続ける。
幼い子供が親より先に世を去ると、親を悲しませ親孝行の功徳も積んでいないことから、三途の川を渡れず、賽の河原で鬼のいじめに遭いながら石の塔婆作りを永遠に続けなければならないとされ、賽の河原に率先して足を運んでは鬼から子供達を守ってやり、仏法や経文を聞かせて徳を与え、成仏への道を開いていく逸話は有名である。
このように、地蔵菩薩は最も弱い立場の人々を最優先で救済する菩薩であることから、古来より絶大な信仰の対象となった。
施餓鬼法要との関係 [編集]
また後年になると、地蔵菩薩の足下には餓鬼界への入口が開いているとする説が広く説かれるようになる。地蔵菩薩像に水を注ぐと、地下で永い苦しみに喘ぐ餓鬼の口にその水が入る。
仏教上における餓鬼は、生前嘘を他言した罪で燃える舌を持っており、口に入れた飲食物は炎を上げて燃え尽き飲み食いすることは出来ないが、地蔵菩薩の慈悲を通した水は餓鬼の喉にも届き、暫くの間苦しみが途切れると言われている(その間に供養を捧げたり、徳の高い経文を聞かせたりして成仏を願うのが、施餓鬼の法要の一端でもある)。これは六道全てに隔てなく慈悲を注ぐと言われる地蔵菩薩の功徳を表す説であり、施餓鬼法要と地蔵菩薩は深い関係として成立していった。
仏教上では、非道者で仏法を否定、誹謗する者を一闡提(略して闡提)というが、これには単に「成仏し難い者」という意味もあることから、一切の衆生を救う大いなる慈悲の意志で、あえて成仏を取り止めた地蔵菩薩や観音菩薩のような菩薩を「大悲闡提」と称し、通常の闡提とは明確に区別する。
道祖神との関係 [編集]
先に述べた「六地蔵」とは六道それぞれを守護する立場の地蔵尊であり、他界への旅立ちの場である葬儀場や墓場に多く建てられた。また道祖神信仰と結びつき、町外れや辻に「町の結界の守護神」として建てられることも多い。これを本尊とする祭りとして地蔵盆がある。また道祖神のことをシャグジともいうことから、シャグジに将軍の字を当て、道祖神と習合した地蔵を将軍地蔵(勝軍とも書く)とも呼ぶようになった。
垂迹神 [編集]
各種地蔵名 [編集]
病苦の身代わり [編集]
- 化粧地蔵
- おしろい地蔵
- 延命ぽっくり地蔵
- 洗い地蔵
- 赤地蔵
- 味噌なめ地蔵
- あごなし地蔵
- 塩地蔵
- あんこ地蔵
- 首なし地蔵
- 首切り地蔵
- 足切り地蔵
- 紙張り地蔵
- 腰折地蔵
- 咳止め地蔵
- 生木地蔵
- ぬりこべ地蔵
- 目洗い地蔵
- くろかね焼地蔵
- へちま地蔵
- 縛られ地蔵
子宝・子育て守護 [編集]
- 賽の河原地蔵
- 子育て地蔵・子安地蔵
- 子守地蔵
- 三体地蔵
- 腹帯地蔵
厄除け [編集]
- 釘抜き地蔵
- とげぬき地蔵
- 引導地蔵
- 水子地蔵
- 六地蔵
- 苦抜き地蔵
- 毛替り地蔵
- 船乗り地蔵
災難予知・危難防御 [編集]
- 汗かき地蔵
- しばられ地蔵
- 芋地蔵
- 火焼け(ほやけ)地蔵
延命・開運・勝利 [編集]
- 延命地蔵
- 延命ぽっくり地蔵
- 首つぎ地蔵
- 勝軍地蔵
- 日限地蔵
- 開運地蔵
- 無尽地蔵
地蔵菩薩を祀る主な寺院 [編集]
- 国宝
- 重要文化財(国指定)
- 木之本地蔵院(浄信寺)(滋賀県長浜市) - 日本三大地蔵尊、鎌倉時代
- 広隆寺(京都府京都市) - 平安時代(埋木地蔵)
- 六波羅蜜寺(京都府京都市) - 鎌倉時代、運慶作(推定)
- 六波羅蜜寺(京都府京都市) - 平安時代(鬘掛地蔵)
- 浄瑠璃寺(京都府木津川市) - 平安時代
- 帯解寺(奈良県奈良市) - 鎌倉時代(帯解子安地蔵)
- 東大寺(奈良県奈良市) - 鎌倉時代、公慶堂安置、快慶作
- 東大寺(奈良県奈良市) - 鎌倉時代、念仏堂安置、康清作
- 福智院(奈良県奈良市) - 鎌倉時代
- 伝香寺(奈良県奈良市) - 鎌倉時代(法服地蔵)
- 室生寺(奈良県宇陀市) - 平安時代(五尊像の一つとして)
- 宝戒寺(神奈川県鎌倉市) - 仏師憲円の作。
- 善願寺(京都府京都市) - 平安時代(腹帯地蔵)
- 菩提寺(青森県むつ市) - 恐山の中核をなす寺院。地蔵菩薩を本尊とする。
- 高岩寺(東京都豊島区) - 巣鴨とげぬき地蔵尊
- 建長寺(神奈川県鎌倉市) - 地蔵菩薩を本尊とする
- 壬生寺(京都府京都市) - 地蔵菩薩を本尊とする
- 宝珠寺(和歌山県新宮市) -延命ぽっくり地蔵を本尊とする。足の親指を上げている希な地蔵菩薩
- 延命寺(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町) - 平安時代・延命地蔵菩薩を本尊とする
- 如意寺(兵庫県神戸市) - 地蔵菩薩を本尊とする
- 円宗院(神奈川県平塚市) - お助け地蔵尊
- 本光寺(千葉県市川市大野町) - 水子供養地蔵尊。水子供養地蔵尊と命名された最初の水子地蔵。
- 大雲寺(岡山県岡山市) - 日限地蔵で知られる。子宝祈願
- 生蓮寺(奈良県五條市) - 雨晴れ地蔵。雨乞い晴れ乞い。
- 浄名院(東京都台東区) - 八萬四千体地蔵尊 江戸六地蔵(第六番)
- 矢田寺(奈良県大和郡山市) - 地蔵菩薩を本尊とする
地蔵菩薩に関連する仏典 [編集]
- 地蔵三経
- 地蔵菩薩本願経
- 大乗大集地蔵十輪経
- 占察善悪業報経
- 密教経典(金剛乗経典)
- 仏説地蔵菩薩陀羅尼経
- 中国で成立したとされる偽経
- 閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経
- 日本で成立したとされる偽経
- 地蔵菩薩発心因縁十王経
- 仏説延命地蔵菩薩経
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